工事管理システム「建て役者」

実行予算はどうやって作るのか
-見積との違いと、利益を残すための原価管理の基本-

2026.05.22

工事の見積はしっかり作っているのに、
「終わってみたら思ったほど利益が残っていなかった」
そんな経験はないでしょうか。

この原因の多くは、“実行予算が曖昧なまま工事が進んでいる”ことにあります。
見積と実行予算は似ているようで役割が大きく異なります。
今回は、工務店における実行予算の考え方と作り方、そして原価管理の基本について整理します。

①見積と実行予算は別物である

まず押さえておきたいのは、見積と実行予算は目的が違うという点です。

「見積」:受注のために作る(対外的な金額)
「実行予算」:利益を残すために作る(社内管理用)

見積は、施主や元請けに提示する金額であり、競争や相場の影響を受けるため、ある程度“調整”されるものです。
一方、実行予算はその工事を”「いくらで施工すれば利益が出るか」”を明確にするためのものです。

ここが曖昧なままだと、こんな状態になりがちです。
・どこで原価が増えたのか分からない
・利益が出ているのか判断できない
・改善につながらない

②実行予算は「分解」がすべて

実行予算を考える上で最も重要なのは、工事をできるだけ細かく分解することです。

最低限、以下の単位には分けます。
・工種別(基礎工事、木工事、設備工事など)
・項目別(材料費・外注費・労務費)

例えば「木工事 200万円」とまとめてしまうと、何が増減したのか分かりません。
しかし、このように分けておくとどうでしょうか。
・材料費:120万円
・外注費:60万円
・手間(自社施工):20万円

「材料が高騰したのか」「職人手配が増えたのか」が見えるようになります。
原価管理=ズレの把握なので、分解できているかが精度を大きく左右します。

③実行予算は「過去データ」をもとに作る

実行予算をゼロから完璧に作るのは現実的ではありません。
重要なのは、過去の実績をベースにすることです。

例えば:
□同じ規模・仕様の現場はいくらかかったか
□工種ごとの平均単価はどのくらいか
□想定外のコストがどこで発生したか
これらをもとに作ることで、実行予算は一気に現実的になります。

逆にありがちなのが、
□「だいたいこれくらいだろう」で決める
□見積をそのまま流用する
といったケースです。これでは、最初からズレがある状態でスタートしてしまいます。

④原価管理は「途中で見る」ことに意味がある

原価管理は、完工後にまとめて確認しても手遅れです。
重要なのは、工事の途中で確認することです。

【チェックポイント】
□予定していた外注費より増えていないか
□材料の追加発注が想定を超えていないか
□工程遅延で余計なコストが発生していないか
これらを途中で把握できれば、調整や是正が可能になります。

逆に、完了後に初めて気づく場合は、原因があいまいになってしまったり、次に活かしにくい状態になったりします。
 実行予算と実績の差を「途中で見る」ことが原価管理の本質です。

<おまけ>よくある失敗パターン

現場でよく見られる課題も整理しておきます。
普段の業務を思い出してチェックしてみてください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
① 実行予算を作っていない
□見積だけで進行してしまう
□ 利益の基準が曖昧になる

② ざっくりしすぎている
□ 分解されていない
□ どこがズレたか分からない

③ 実績が残っていない
□ 原価の記録が曖昧
□ 次に活かせない

④ 情報がバラバラ
□ 現場・事務所で情報が分断
□ タイムリーに把握できない
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何個あてはまりましたか?多ければ多いほど改善が必要かもしれません。
これらはすべて、「見えていない」ことが原因なんです。

まとめ:まずは「見える状態」をつくることから

実行予算や原価管理というと難しく感じられますが、最初から完璧を目指す必要はありません。

工種ごとに分けてみる」「材料・外注・手間を分ける」「実績を少しずつ記録する
このように、現場と原価を“見える状態”にするだけでも大きく変わります

情報が整理され、予定と実績の差が分かるようになると、
利益のブレが減る」「次の現場での精度が上がる」「無駄なコストに気づける
といった改善が自然と積み上がっていきます。

原価管理は特別なことではなく、日々の情報をどう扱うかの積み重ねです。
その基盤が整うことで、“なんとなくの利益”から“狙った利益”へと変わっていきます。

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